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古田隆彦著
「増子・中年化」社会のマーケティング
…人口減少をチャンスに変える40の戦略
生産性出版
2008年8月刊
定価2625円
本書に登場する500の企業・団体・・・SPECIAL THANKS
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25歳未満を若年層、75歳以上を老年層とする新区分で描くと、子どもの比重はほとんど変わらず、2015年には05年(15歳未満)より857万人も増える。老人の比重もさほど増えるわけではなく、むしろ増えるのは中年の上層部である。
とすれば、今進みつつあるのは「少子・高齢化」ではなく「増子・中年化」ではないか。長寿化が進むことで、人生のスタイルが「人生70年型」から「人生85~90年型」へ移行し始めている以上、年齢別の役割も変わり始めている。こうした現実に合わせて、「子ども」の定義も「老人」の定義も、ともに変えていくのはごく当然のことだろう。
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【目次】
序章 〝増子・中年化〟社会が来る
「少子・高齢化」という幻想/24歳までは子どもだ!/75歳からが老人だ!/「高齢化」でなく「超中年化」
一章 コンデンシング社会へ向かって
一―一 人口はなぜ減るか
21世紀末には4000万人を割る/修正ロジスティック曲線/人口容量から人口波動へ
一―二 人口波動で時代を読む
世界の人口波動/日本の人口波動/5番目の壁とは何か/人口を抑えるしくみ
一―三 社会・経済の方向が変わる
見当違いの3方向/歴史の先例に学ぶ/本命はコンデンシング社会/本格的な消費社会へ/創造生産性とは何か/消費市場への4つのインパクト
二章 顧客が減っても売り上げを伸ばす
二―一 顧客減少市場へ対応する
顧客が減少する時代/5つの対応戦略
二―二 多額化戦略
高額化/定額化/低額化/多額化・3つのポイント
二―三 多数化戦略
複数化する腕時計/眼鏡も複数化/リピート化/多数化・2つのポイント
二―四 多層化戦略
エイジレス化する商品 /エイジレス化するサービス/ユニセックス化/ユニバーサル化/ステートレス化/多層化・4つのポイント
二―五 多面化戦略
業種拡大化/業態拡大化/多面化・2つのポイント
二―六 多接化戦略
メディア接触化/店頭接触化/多接化・2つのポイント
三章 世代・時代・年代の変化を読む
三―一 年齢構成変化へ対応する
逆ピラミッド化する年齢構成/世代…出生率の推移で分ける/世代の特性/時代…世代の性格を変える/年代…人生の区分を見直す/新旧ギャップを突け!/世代と年代をクロスする
三―二 幼年市場戦略
テンポケッツ化/ベビーフードと通信教育/一子豪華化商品/一子豪華化サービス/幼年対応・3つのポイント
三―三 少年市場戦略
濃密な消費行動/ヤマンバからジュニア・ファッションへ /ゲームとファンタジー/少年対応・4つのポイント
三―四 青年市場戦略
コダルト市場が拡大する/緑茶とIT/コダルト化する青年たち/青年対応・4つのポイント
三―五 中年市場戦略
超中年化に対応する/健康・体力維持食品/容姿保持商品/ハイパーミドル化
中年対応・3つのポイント
三―六 老年市場戦略
超長寿化に対応する/シニア向けパソコン・サークル/シニア向け旅行サービス/超老年の生活を支援する/多死化に対応する/老年対応・3つのポイント
四章 スーパーファミリーへ挑む
四―一 人口減少時代の家族像
家族から個族・他族・多族へ/人口抑制装置が家族を変える/産業主義と福祉主義も原因
四―二 シングル市場戦略
拡大するシングル・レストラン/一人旅も拡大する/シングル対応・5つのポイント
四―三 結婚市場戦略
年齢別の結婚状況/変わる結婚紹介サービス/多様化する結婚式/外国人との結婚/先行した農村地域/結婚対応・3つのポイント
四―四 シングル・ママ・パパ市場戦略
増加する単親世帯/単親世帯への生活支援/婚外子対策が必要だ!/単親対応・2つのポイント
四―五 ディンクス市場戦略
三つのタイプ/「ぜったい」派の生活価値観/ディンクス対応・2つのポイント
四―六 老年夫婦市場戦略
高い生活満足度/それでも高い不安度/老年対応・2つのポイント
四―七 新たな家族像を求めて
ルームシェアが増加する/コレクティブハウス/グループハウス/集合世帯対応・3つのポイント
五章 人口減少地域こそ先進地
五―一 地域分布の三大変化
地方ブロックの人口減少/都道府県の五つのパターン/人口減少県こそ先進県
五―二 人口減少地域戦略
地域の生産性を上げる/消費縮小を覆す/地域の社会力を上げる/人口減少地域対応・三つのポイント
五―三 都心再生戦略
人口の都心回帰/コンデンス・シティーをめざせ!/再生する中心商店街/システムから〝構造〟へ/都心再生対応・3つのポイント
五―四 郊外再生戦略
人口が急減する郊外/新たな郊外需要を創る/急増する過疎地/空き家や廃村の再活用/郊外再生対応・2つのポイント
六章 必需〝心〟をキャッチする
六―一 人口減少で心理が変わる
定着するスローライフ /浸透するシンプルライフ/必需品から必需心へ
六―二 自分需要への差延化戦略
肥大化する自意識/自分需要には「差延化」で/価値と効用/効用と効能/5つのアプローチ/「私仕様」市場戦略/私仕様・三つのポイント/「参加」市場戦略/参加・4つのポイント/「手作り」市場戦略
/手作り・5つのポイント /「編集」市場戦略/編集・4つのポイント/「変換」市場戦略/変換・4つのポイント /差延化戦略の要点
六―三 欲動需要への差元化戦略
欲動需要とは何か/欲動需要には「差元化」で/「体感」市場戦略/体感・3つのポイント/「象徴」市場戦略 /象徴・3つのポイント/「神話」市場戦略/神話・3つのポイント/差元化戦略の要点
七章 〝学び〟と〝遊び〟の核を突く
七―一 変質する学びと遊び
新たな学びと遊びが伸びる/真実と虚構の間で
七―二 真剣消費への差真化戦略
真剣消費とは何か/真剣化には「差真化」で/「自学・自習」市場戦略/自学・自習・3つのポイント/「自強・修行」市場戦略 /「修行」と「訓練」を求めて/自強・修行・3つのポイント/「作法・儀式」市場戦略
/作法・儀式・3つのポイント/差真化戦略の要点
七―三 遊戯消費への差戯化戦略
遊戯消費とは何か/遊戯消費には「差戯化」で/「競争・ゲーム」市場戦略 /「ゲーム」と「競争」をビジネスにする/競争・ゲーム・3つのポイント/「模擬・戯化」市場戦略/日常や近隣を「戯化」する/「模擬」願望に応える/模擬・戯化・3つのポイント
/「混乱・めまい」市場戦略/「混乱」を楽しむ/混乱・めまい・3つのポイント/差戯化戦略の要点
八章 人口反転に向かって
八―一 二一世紀の課題とは何か
世界と日本の人口波動 /21世紀・日本の課題
八―二 食料・資源問題へ対応する
80億人の壁が迫る/食料問題への対応/資源・エネルギーの対応/水資源への対応 /環境問題への対応
八―二 人口反転への三大戦略
二一世紀の戦略産業/3つの産業分野を創出する
あとがき マーケティングの本質を見つめる
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あとがき マーケティングの本質を見つめる
国内政治・行政の混乱や経済の停滞はもとより、国際的な食料・資源・エネルギーの需給逼迫や投機マネーの介入による価格高騰に至るまで、二一世紀の日本と世界は、二〇世紀型の社会・経済構造とは明らかに異なるシーンへ移行しつつある。とりわけ人口動向では、日本の人口減少と世界の人口爆発が並行的に進みつつあり、その影響がさまざまな形で、社会・経済のうえに及びはじめている。
ところが、これらの変化に、日本の対応は大きく遅れている。政治家や官僚の多くは、社会保障から国土・交通計画まで、一九六〇~七〇年代に作られた枠組みに固執するあまり、現実への対応に大きく出遅れている。経営者や経済学者の中にも、今なおグローバル化や市場主義経済をむやみに崇拝して、明らかに拡大しつつある弊害に目を閉ざす人がいる。
こうした社会環境の中で、マーケティングに期待されるものは限りなく大きい。マーケティングごときが、と思われるかもしれないが、そうではない。マーケティングを「商品やサービスを売るための経営活動の一手段」程度に考えている人には、確かに過剰な期待と映るかもしれない。だが、マーケティングの本質は、私たちの社会の中から発生してくる、さまざまな願望を何らかの形で具現していくことにある。政治や行政のめざすべき方向から、社会や経済の望ましい方向、さらには暮らしや生きがいのあり様まで、人間集団のさまざまな願望を把握した上で、いかに実現するかを考えるしくみだ、といってもいい。
そう考える時、これからのマーケティングに求められるのは、欧米経営学者の権威に追随したパラダイムでも、成功事例のケーススタディーでも、まして小手先の手法開発でもない。マクロには国民の求める国家の方向を見定め、ミクロには一人ひとりのユーザーの心を満足させる商品やサービスを創りだせる、本質的な哲学とそれを柔軟に活用できる、具体的な手法をみつけることにある。
本書は、こうした意図に基づいて、人口が減少していく時代の中で企業や民間団体が何をなすべきか、を考察したものである。もとより大げさな意図がさほど簡単に達成できるわけはない。一つの試行として御笑覧いただければ幸いである。
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