ラストモダン (LAST MODERN AS A FINAL STAGE OF MODERN SOCIETY) 

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現代社会研究所 RESEARCH INSTITUTE FOR CONTEMPORARY SOCIETY

この言葉は、1990年2月26日の日本経済新聞・夕刊の連載コラム「生活ニューウエーブ」で、古田隆彦が「ラストモダン」と題して、初めて使いました。この時点で調査した限り、世界で初めての使用でした。
 
・・・約百二十年間続いた近代中期は、もっぱら成長・拡大型の社会であった。しかし、あと十年後に迫った近代後期は、かってジャポニスムを生み出した、江戸中期百年間の停滞型社会と同じように、物質的には停滞するものの、精神的には爛熟化する文化の時代となるのではないか。

 とすれば、科学技術、市場経済、国際主義などが成熟化するなかで、急拡大を続けた成長型社会の矛盾−−−環境破壊、地価高騰、資産格差の拡大などを一つずつ解決し、成熟した生活文化を尊ぶ安定型社会をめざすことが必要だろう。それは、近代の終りではなく、近代の総仕上げを意味している。

 そう考える時、私たちが今、向かっているのは「ポストモダン」ではなく、「ラストモダン」なのだ。

著作としては、1996年3月に出版した『人口波動で未来を読む』の中で初めて使いました。

従来の成長・拡大社会をミドルモダン、90年代の転換期をポストモダンとするならば、21世紀の飽和・凝縮社会はまさしくラストモダン(近代後期)なのである。・・・とすれば、ラストモダンとは、決してモダンの終りを意味するのではなく、むしろモダンの集大成を意味している。(『人口波動で未来を読む』日本経済新聞社、1996、P220〜221)

最も新しい著作(2003年7月)では、この概念をイメージ化したうえ、次のように表現しています。

ラストモダンとは、決してモダンの終りなどではなく、むしろモダンの完成期、つまり「ファイナル(仕上げ)モダン」なのである。・・・ラストモダンになると、成長・拡大が抑えられることで、・・・より成熟した生活文化を尊ぶ時代をめざせるようになる。(古田隆彦『人口減少社会のマーケティング』生産性出版、2003、P279〜282)


2020年12月
に修正しました。


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