最近の主張 2011
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現代社会研究所  RESEARCH INSTITUTE FOR CONTEMPORARY SOCIETY
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粗放工業文明から集約工業文明へ(現代社会研究所所長 古田隆彦)
●米国の反格差デモ、欧州の財政・金融危機、日本の原発事故と、現代文明の基盤が揺らいでいる。私たちは次の目標として、いかなる文明をめざすべきなのか。
●超長期の人口推移で振り返ると、人類史には旧石器、新石器、粗放農業、集約農業、近代工業の、5つの文明段階がある。
●このうち、旧石器と新石器、粗放農業と集約農業は継承・発展のペア関係にあり、日本では旧石器、粗放農業は海外から渡来し、新石器、集約農業は国内で発展。
●この視点を延長すれば、近代工業文明の次は、より高度な工業文明。農業文明に習うと「粗放工業」から「集約工業」への移行。
●日本としては〝粗放〟文明を継承・発展させ、〝集約〟文明を創造しなければならない。それにはまず近代工業文明を支える3つの柱、科学技術、市場経済制度、国際協調主義(グローバル化)の見直しが必要。
科学技術は、粗放技術から集約技術へ。基礎となるエネルギー源を、石油やウランなどの〝粗暴〟な爆発に頼らず、宇宙・地球エネルギーの〝柔和〟な利用へ移行。
市場経済も、粗放経済から集約経済へ。グローバル市場主義の乱暴な介入や、競争激化による格差拡大を是正して、国際性と国内性の調和、市場と互酬・互恵のバランスに配慮した、より柔らかな社会・経済体制へ
国際対応は、外発的国際化から内発的国際化へ。幕末期以来の外圧的な開国化を脱して、食糧、資源、エネルギー需給の逼迫する二一世紀の国際環境に向け、戦略と戦術を駆使した、重層的な対応を展開
●3つの対応で工業文明をもう一段階に引き上げることができれば、日本だけでなく世界中に、新たな未来が広がっていく。
詳細は「生産性新聞」「一言」欄、2011年11月15日)

「平成享保」から「平成明天」へ(現代社会研究所所長 古田隆彦)

●「平成享保」とは、平成元年(一九八九年)の秋、筆者が某紙に寄稿したコラムの題名。
●福田赳夫元総理の名言「昭和元禄」を踏襲して、「平成」は江戸時代の「享保」に近づく、という趣旨。
●その後二〇余年を経て、「成長・拡大から飽和・安定へ」や「放漫財政から緊縮財政へ」の移行、あるいは「享楽主義から倹約主義へ」という展望はほぼ的中
●予測の根拠は人口動向。享保期には集約農業技術、石高経済、半鎖国体制による江戸型農業文明が、また平成期には科学技術、市場経済、国際開放体制による近代工業文明が、それぞれ限界に近づいたため人口がピークに達し、社会・経済も成長から成熟へ移行。
●人口減少が始まった現在は、江戸時代でいえば、延享・寛延・宝暦期
●病弱で言語不明瞭な九代将軍・家重に代わり、側用人・大岡忠光が幕政を動かしたが、人口減少に伴う「米価安」で財政は急速に悪化。幕府は「定免制」を強行して増収を狙ったものの、百姓一揆の続発でかえって税収が減り、ついには赤字
●そこで登場したのが田沼意次。明和・安永・天明期に十代将軍・家治の側用人兼老中として、「石高経済」を再建しつつも、折から勃興した商品経済を積極的に活用して増収を図る
●当時としては〝常識破り〟の発想だが、十三年間で収支を改善し、天明の大飢饉までの約十年間、黒字を維持
●現代の政府に当てはめれば、「市場経済」を維持しつつも、それを超える〝常識破り〟の発想
●互酬・互恵制度の再生や福祉政策の再構築など、大胆な改革で歳出を抑制し、人口減少社会に見合った財政構造を創る
●もしこれに成功すれば、平成二十~三十年代の日本は「平成・明和~天明」、略して「平成明天」とよばれることになろう
詳細は「生産性新聞」「一言」欄、2011年10月15日

今後求められる「イペル・ジャポニスム」(現代社会研究所所長 古田隆彦)

●人口減少と東日本大震災で、日本の未来は大きく変わった。労働力と内需の縮小に、エネルギー制約や製造力停滞が加わり、産業構造や輸出構造も大転換を迫られる。
●1億人規模の人口を養っていくには、一定量の輸出が必要だ。工業製品だけでは無理となれば、知識、情報、ノウハウ、サービスなども積極的に輸出し、必要不可欠な食糧・資源の対価を稼がなければならない。
●その時、中核となるのは、日本人の培ってきた、優れたライフスタイル。倫理感、清潔感、連帯感、サービス精神などの伝統的な特性。それらを社会的課題に積極的に適用し、新しい生活価値観や生活作法を作り上げ、新たな商品やサービスを創造する。
●21世紀の国際市場では、機能性や効率性だけでなく、地球環境や食糧・資源危機などに対応できる、新たなライフスタイルこそ、最大の付加価値だ。工業製品や観光サービスはもとより、ファッションやデザインなども、単なる新奇性や流行性だけでなく、こうしたバックボーンで裏付けることが必要だ。
●これまでにも、幕末の「ジャポニスム」から最近の「クール・ジャパン」まで、さまざまなソフト様式を輸出してきた。だが、どちらかといえば、アート、デザイン、アニメ、ファッションなど、〝表徴〟的な価値が中心だった
●今後はおそらく、美意識や情感に加えて、伝統や習俗、倫理や価値観など、より深い文化を輸出することが求められる
●それは多分、もう一段ハイパーレベルな日本様式、つまり「イペル・ジャポニスム」だろう。
詳細は「生産性新聞」「一言」欄、2011年9月15日


不動産業界の現状と今後・・・人口減少に対応する不動産流通業の課題(現代社会研究所所長 古田隆彦)

1.不動産業界は今・・・
 ①不動産業の分類、 ②不動産業の位置(全国)、 ③不動産業の位置(福島県内)、 ④対国・対県を比較する
2. 人口減少社会のゆくえ
 ①総人口の減少、 ②地域分布の変化、 ③年齢構成の変化、 ④家族構造の変化、 ⑤人口移動の減少
3.住宅市場への2つの対応
 ①住宅需要へのインパクト、 ②住宅供給へのインパクト、 ③縮小市場への2つの対応、 ④不動産市場へ応用する
4.多重戦略を展開する
 ①多重戦略を展開する、 ②シングル世帯戦略、 ③スーパーファミリー戦略、 ④住替え促進戦略
5.アイデンティティーを見直す
 ①不動産流通業のゆくえ、 ②原点は「良好な住環境をユーザーへ」、 ③「多面的な住生活提案業」へ向かって
㈳福島県宅地建物取引業協会ハトマークセミナー白河、2011年9月8日

長寿社会に対応する不動産流通業の方向・・・サービス付き高齢者住宅の今後(現代社会研究所所長 古田隆彦)

1.少産・長寿社会のゆくえ
 ①人口容量の飽和化、②増子・中年化で人生が変わる、③スーパーファミリーが登場する
 ④8割の県がすでに人口減少、⑤県間・県内とも移動が減少
2.浜松市はどう変わるか?
 ①2009年より人口減少、②約3万人が外国人、③やはり増子・中年化
 ④減り続ける世帯人員、⑤約4割が住宅を新築
3.住宅市場への2つの対応
 ①住宅需給へのインパクト・・・少産・長寿社会の需給環境
 ②縮小市場に対応する2つの戦略・・・量的×質的=多重戦略
 ③不動産市場への応用・・・営業5多化・新6差化
 ④多重化戦略の展開・・・シングル・スーパーファミリー・住替え促進
4.サービス付き高齢者住宅の促進
 ①政府の2つの事業、②サービス付き高齢者住宅・特別枠300億円公募、③法改正の3つの要因、
 ④登録制度のポイント・・・⑴登録対象、⑵登録基準、⑶契約内容、⑷行政の指導監督、⑸政府の支援制度、⑹申請手続き
 ⑤高齢者住宅市場の今後を読む
5.アイデンティティーを見直す
 ①新たな需給環境に対応する、② 「良好な住環境をユーザーへ」という原点
 ③ 「多面的な住生活提案業」へ向かって・・・新たな業種・業態とは?
浜松商工会議所・不動産部会講演会、2011年8月29日

大震災がファッションを変える・・・イペル・ジャポニスムへ転換(現代社会研究所所長 古田隆彦)

序・大震災は服飾文化にも大転換を迫る
1・宝永大震災
 ・宝永大震災(1707年10月28日)・・・上方風の元禄文化を終わらせ、江戸町人中心の〝江戸っ子〟文化へ移行させる
 ・表面的な華麗さを「野暮」とけなし、裏側の抑えた趣向を「いき」や「通」として尊ぶ、成熟した美意識へ
2・関東大震災
 ・関東大震災(1923年9月1日)・・・震災時に動作を妨げた和服や日本髪が敬遠され、男女とも洋装化が進む
 ・3年後に昭和へ入ると、モボ・モガ時代が到来
 ・宝永大震災は上方衣装から江戸衣装へ、関東大震災は和装から洋装へ、服飾文化を大転換させた
3・3つの共通点
 ①大震災の影響で社会や暮らしの方向が大きく変化
 ②ショックが大きく服飾文化も一旦は萎縮
 ③復興が始まると、徐々に動き出していた変化が一挙に進み、新たな文化が生れる
4・イペル・ジャポニスムへ向かって
 ・今回の東日本大震災でも、とりあえずは基本返り、自然返り
 ・ショックが収まれば、やがて大転換が起こる
 ・従来の欧米系ラグジュアリー志向が終わり、新たに和風系〝粋〟志向が始まる
 ・やがてイペル・ジャポニスム(超日本様式)として世界を席巻
詳細は繊研新聞・繊研教室、2011年8月16日

人口減少社会に対応する不動産流通業の課題(現代社会研究所所長 古田隆彦)

1.人口減少社会の進行
  人口減少の背景・・・少産・多死化と人口容量飽和化
  人口容量(Carrying Capacity)=自然環境×文明
  日本人口の推移・・・工業文明波の限界
  人口波動の6つの時期・・・社会の方向が変わる
  消費市場・住宅市場へのインパクト
2.人口減少で激変する住宅市場
  総人口の減少・・・住宅総需要の減少
  年齢構成の変化・・・年齢別需要は上方へシフト
  家族構造の変化・・・スーパーファミリーへの対応
  地域分布の変化・・・需要減少は地方から
  人口移動の減少・・・府県間も府県内も減少
  住宅需給へのインパクト
3.大震災のインパクト
  大震災と社会・経済構造の関係
  工業文明波の限界・・・飽和・濃縮化を加速
  濃縮社会(Condensing Society)へ向かって
  住宅市場へのインパクト
4.市場縮小への2つの対策
  縮小市場に対応する2面作戦・・・営業革新と商品開発
  需要減少を巻き返す営業5多化戦略・・・不動産流通業へ応用
  需要変化に対応する商品6差化戦略・・・不動産流通業へ応用
  営業戦略×商品戦略=多重戦略・・・シングル・スーパーファミリー・住み替え対応
5.アイデンティティーを見直す
  不動産流通業の新たな存在意義とは?
  「良好な住環境をユーザーへ」という原点
  不動産流通業の新たな方向を提案する
  「住宅・宅地の売買・賃貸仲介業」から「多面的な住生活提案業」へ
  多面的な住生活提案業とは何か
財)不動産流通近代化センター「これからの不動産業を考える会」(2011年7月22日)

人口減少時代の婚儀と葬儀・・・激変する市場環境をチャンスに変える(現代社会研究所所長 古田隆彦)


プロローグ

  日本の人口は2005年から減少!…2020年までに800万人減
  冠婚葬祭の推移と予測…葬儀は増加・婚儀は減少
  大震災のインパクト…人口、結婚・離婚、家族、意識変化など
1.人口減少社会とは何か
  人口容量の飽和化…人口波動で読む現代社会、工業現波の限界
  年齢構成の倒立化…「少子・高齢化」ではなく「増子・中年化」
  家族構成の多様化…世帯数はなお増加、新型家族が登場する
  地域構成の固定化…都道府県8割で人口減少が続く
  飽和・濃縮社会化…社会の方向が変わる、成熟・濃縮・余裕へ
2.市場縮小への2つの対応
  人口減少=顧客減少市場への2つの対応…売り上げを伸ばす営業戦略×新需要を創る商品戦略
  営業5多化戦略…売り上げを伸ばす5つの手法…多額化・多数化・多層化・多面化・多接化
  商品6差化戦略…新しい需要を創る6つの手法…差別化・差異化・差元化・差延化・差真化・差戯化
3.婚儀減少をいかに超えるか
  婚儀市場へのインパクト…対象者減少、人生長期化、家族観変化など
  結婚式場業の経営状況…件数は減少・単価は上昇
  営業戦略の革新…多層化と多面化を!
  新商品の開発…3S婚(スマ婚・シンプル婚・セメ婚)が有望
  BSGこそターゲット!…B:晩婚者・S:再婚者・G:外婚者
4.葬儀増加にどう取り組むか
  葬儀市場へのインパクト…多死化、年齢上昇、葬儀観の変化など
  葬儀業の経営状況…件数は増加・単価は低下
  営業戦略の革新…多面化で業種・業態拡大を!
  商品革新…差別化・差異化を展開する
  ターゲットはGSR!…G:墓地連携・S:社会化・R:新互恵化
5.新儀礼産業へ向かって
  下降期は儀礼・儀式の時代…平安中期、江戸中期、欧州中世
  無縁社会から有縁社会へ…脱無縁社会⇒有縁・結縁社会
  新有縁社会に適した婚儀と葬儀へ…BSG、新コミュニティー葬
  戦略アナロジーのすすめ…他業界での成功事例に学ぶ
  新しい儀礼文化を創る…婚儀文化と葬儀文化を提案する
互助会保証株式会社・二世研究会、2011年7月13日)
大震災後の東北復興ビジョン(現代社会研究所所長 古田隆彦)


濃縮社会の先進地に!
 ・人口減少・長寿社会前提・・・75歳現役社会
 ・成長・拡大をめざさず・・・3S(スロー、シンプル、スモール
 ・既存インフラ最大活用・・・過剰投資に期待せず
 ・政府・行政に過剰に頼らない・・・再配分・市場・互酬のバランス化
 ・食糧自給・脱部品=手作り高額品産業・・・自給自足・地産地消
東北は一つではない
 ・北3県・南3県の地域差
 ・北3県の南3県・西日本に対する不信感
 ・西日本主導の現政権とは一線を画す
地域ビジョンの新たな方向
 ・日本国とは一定の距離
 ・大都市ヒエラルキーを脱す・・・コンデンス・シティー連合
 ・北東北・南東北圏ごとの緩やかな都市圏連合をめざす
(某新聞社インタビュー、2011年6月24日)
市場縮小時代の成長戦略(現代社会研究所所長 古田隆彦)


1.大震災後の消費を読む
 不況期の生活願望・・・上昇する3トレンド
 浪費⇒節約、外向⇒内向、見栄え⇒実質
 大震災・・・震災ショックからポスト震災へ
2.消費市場はどこまで縮むか?
 市場縮小=顧客減少×消費縮小
 顧客減少×消費拡大で市場拡大
 消費拡大の2つの対応・・・日常市場・非日常市場
3.日常市場を拡大する必需品戦略
 必需品を伸ばす6多化戦略・・・多能化・多額化・多数化・多層化・多面化・多接化
 多能化・・・新機能・高性能・高品質で新需要創造
 多層化・・・エイジレス、ユニセックスなど顧客層を見直す
4.非日常市場を創造する選択品戦略
 選択品を伸ばす6差化戦略・・・差異化・差元化・差値化・差延化・差真化・差戯化
 差元化・・・心の奥の欲動をつかむ・・・体感化・象徴化・神話化
 差延化・・・愛着や自意識で新需要を創る・・・私仕様化・参加化・手作り化・編集化・変換化
5.多重化戦略をめざして
 ポスト震災後の消費市場・・・供給過剰の進行・・・実用品安の選択品高
 究極は濃縮市場・・・実用品・必需品を超えて選択品(ニューセレクト)を狙え!
  濃縮市場への究極的対応・・・成長戦略から成熟戦略へ
食品マーケティング研究会、2011年4月21日)
マーケティング大転換(現代社会研究所所長 古田隆彦)


序. マーケティング・クライシス
・・・ 買い物難民を生み出した?,無縁社会を加速させた? 自己実現病を蔓延させた?
1.内外からのマーケティング大批判・・・ B.スティグレール、 内田樹、 J.ヤングが告発する
  何が告発されているのか・・・象徴能力、自律性低下、排除性拡大
  マーケティングはどう応えるか?・・・内部転換と外部転換
2.「コト」づくり大転換
  象徴能力を衰退させたマーケティング=コトづくり・・・コトとは何か?
  コトとモノのバランス回復・・・記号と象徴のバランス化・・・ マーケティングからシンボル・サポーティング
3.「価値」づくり大転換
  象徴“価値”が自律性を崩壊した・・・ 価値とは何か・・・江戸時代から幕末、明治へ
  言語学の値打ちの3次元・・・ 価値と効能のバランス回復・・・エフェクト・サポーティング
4.「消費者」志向大転換
  本当の需要者は誰なのか・・・ 消費者の限界・・・ 大熊信行の生活者・・・ 今和次郎の生活人
  象徴性・効能性の主体・・・生活者・生活人から生成者へ・・・・ライフ・サポーティングへ向かって
5.マーケティングの外部転換
  市場拡大社会を超えて・・・寄与経済、贈与中心経済、リベラル民主主義
  ポストモダンからラストモダンへ・・・ポスト市場主義、ポスト社会主義、ポスト福祉社会
  カール・ポランニーの『大転換』・・・再配分・市場・互酬制度鼎立・・・ 市場主義・市場機能の見直しへ
結.マーケティング大転換・・・マーケティングからソーシャライジング
マーケティング・トレンド研究会、2011年4月7日)

若者市場・・・縮む市場をこうして乗り切れ(現代社会研究所所長 古田隆彦)

  • 若者のブランド離れ、ファッション離れが、マスメディアを賑わしている。過去二〇年間の若者市場(一五~二九歳)の変化を振り返る。
  • ヤング・ファッションの市場規模は【若者人口×所得水準×消費性向×衣料への支出率】で概ね決まる。
  • 若者人口は、二〇一〇年に男性一〇三五万人、女性一〇九〇万人で、一九九〇年に比べ、男性七六%、女性八九%に落ちている。
  • 所得水準(平均月間実収入)は、〇九年に男性二五万四千円、女性二五万一千円で、一九八九年に対し、男性は九四%に減り、女性は一一〇%に上がっている。
  • 消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は、〇九年に男性が八四・一%、女性が七九・九%で、八九年より男性は一〇一%に増え、女性は八六%に落ちた。
  • 衣料への支出率(平均月間支出額に占める「被服および履物」の比率)は、一九八九年の男性七・三%、女性一三・七%からほぼ一貫して低下し続け、〇九年には男性五・一%、女性七・三%にまで低下した。二〇年間に男性は七〇%、女性は五三%に縮小している。
  • 以上の四要素を掛け合わせると、ヤング・ファッションの市場規模は、この二〇年間で男性五〇%、女性四五%に縮小。若者のファッション離れは、確かに進んでいる。
  • 四要素の中で、最も減少幅が大きいのは、衣料への支出率。その推移をみると、八九~九四年の急落は、男女ともバブル経済崩壊の影響である。最近になって落ち着き、男性は五%、女性は六~七%前後でほぼ安定した、といえる。
  • 以上のトレンドを前提に、一〇年後の市場規模を展望してみよう。
  • 二〇〇九年に対して、二〇二〇年の若者人口は男性が八九%、女性が八五%に減る。所得水準は回復すると思われるが、社会保障などの負担も増加するから、消費性向はほぼ横ばい。そのうえで、支出率を男性五%持続、女性一五年七%、二〇年六%と仮定する。
  • 二〇二〇年の市場規模は、男性で八八%、女性は七〇%に落ちる。ヤング・ファッション市場は、男性が現在の約九割に、女性が約七割になおも縮小。
  • 同様の傾向は、若者市場を超えて、被服市場全体に共通している。となると、関連業界は早急に市場戦略を転換しなければならない。具体的には顧客数と支出率をあげることが先決だ。
  • もっとも、若者人口が減る以上、一五~二九歳の顧客増加はもはや不可能だ。実際にできるのは、従来からのユーザー層を見直して、新たなユーザー層を開拓するという、積極的な「多層化」戦略しかない。
  • 支出率アップ対策としては、①衣料・履物の概念の拡大、②他の物販との複合化、③サービスとの複合化など、「多角化・多面化」戦略が求められる。
  • 以上はあくまでも一例。今後のファッション関連産業には、従来の常識を超えた、業種・業態の転換が必要だろう。
詳細は繊研新聞・繊研教室、2011年2月15日

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