ニュータイプの健康食品に進出…八幡物産(2001.02)
健康への関心が高まっている折、ニュータイプの健康食品を開発して、一躍注目を集めているベンチャー企業がある。米子市の八幡物産梶i八幡滋郎社長)だ。
この商品は、中国産アガリクス茸入りの即席健康みそ汁「元気の友」、家庭で健康豆腐を作れる「畑の大将」、大豆をまるごと使った缶入り「豆乳ドリンク」、料理や栄養剤などに使える「大豆と焙煎玄米の混合粉末」などで、いずれも消費者のためのよりよい食品、「ウェルフード」をめざしている。
同社は、ロイヤルゼリー、クロレラなどの栄養補助食品の売り上げを、テレビショッピングと会員組織による通信販売で、五年間に四倍にも伸ばしたという注目企業。今回の新商品もこの会員組織を通じて発売し、初年度は三億円の売り上げを見込んでいる。
八幡社長が銀行員から脱サラして、同社を設立したのが一九七五年。栄養剤を包むソフトゼラチンカプセルの製造技術を持つ米国企業の極東支配人が、たまたま親戚だったことから、国内販売権を得たのがきっかけだった。
初めは製造・卸販売だけだったが、八七年に某企画会社からテレビショッピング向けの商品を依頼され、直接販売を開始した。だが、間もなく企画会社が倒産。九二年から自らテレビショッピングを始めた。
「一度買ってしまえば、それ以上は売れない耐久消費財などと違って、毎日減っていく栄養補助食品は、テレビで宣伝すればするほど注文が伸びる」と気づいたからだ。そのうえ、代金引換制度を活用すれば、売り上げ回収も確実だし、値段を多少下げても直販なので利益率が落ちることはない。
そこで、今ではテレビショッピング番組の制作を六社に委託し、全国各局で月間一八〇本を放送している。二〇〇〇年八月期には、制作・放送費に約一〇億円を投じたが、その効果は著しく、新規購入者が一年間で八万人も増え、会員数は三〇万人に達した。
最大の戦略は、こうして増やした会員を積極的に活用するため、独自の顧客管理システムを構築していること。一人ひとりのユーザーの購入履歴をデータベース化して、定期的にダイレクトメールを出す。高額購入者には年四回、料理や旅行、ガーデニングなどの情報を盛り込んだ健康サポート雑誌『SAPO』を送ったり、特製カレンダーや、鳥取県特産の二十世紀梨などの特産品も配っている。
また会員からの電話注文に加えて、三六人のオペレーターが時々電話をかけ、質問や意見を聞き、注文も受けつける。顧客と直接対話を増やすことで不満や好みを集め、新商品の開発にも役立てるというしくみ。こうした独創的な営業手法が高く評価されて、二〇〇〇年五月には中国地域ニュービジネス大賞に選ばれた。
新商品の投入で「三年後には会員五〇万人、売り上げ五〇億円を実現し、店頭公開をめざします」と、八幡社長の夢は広がっている。
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