一万円均一のオーダーカーテンで急成長する…フィール(2006.10)
「オーダーカーテンは高い」という常識を覆し、一万円の均一価格で急成長をしている繁盛店が東京の御徒町にある。
この店「feel インテリア館」では、一窓分二枚組(巾二mまで×丈二・四mまで)が一万五〇〇円(税込)。生地のグレードではメーカー品の八割引で、縫製のレベルもブランド品と遜色ない。通常、新築の一軒家でカーテンを全て新調すると、五〇~六〇万円かかるが、この店だと二〇万円以下で済むから、広告・宣伝は皆無にも関わらず、ユーザー間の口コミで、商圏は東京全域から埼玉・千葉・神奈川に広がり、さらには長野にまで伸びているという。
その結果、開店二年めにして、月間売り上げ額はすでに約三〇〇〇万円を超えた。同業の同規模店の売り上げは平均八〇〇万円程度だから、オーダーカーテン専門店としてはトップクラスに入る。
同店を経営する㈲フィールの飯野修一社長は、大学を卒業後、家業のインテリア問屋に入社、営業を担当しながら、起業家養成スクールで新しいビジネスモデルを考え出し、二〇〇四年に同社を設立。
カーテンの流通は通常「織物工場→商社→メーカー→代理店→小売店→顧客」という経路だが、オーダー品だと、各ステップでマージンが積みあがって、末端価格がかなり高くなる。この矛盾に目をつけた飯野社長は、幾つかの改善策を打った。
第一に大半の商品を、顧客の注文後に生地生産元へ直接発注し、中途在庫を一切持たない仕組みを作った。第二に無用なブランドロイヤリティーをカットするため、全生産元に全ての商品を「同一仕様、同一価格」で納入してもらう約束を取り付けた。この条件で現在、八社を確保している。
第三は、多くのカーテン屋が行っている「無料出張採寸」をやめ、顧客に自ら採寸してもらうようにした。その代わり、来店客や電話で問い合わせた客に、カーテン採寸用のメジャーを無料で提供し、素人でも失敗なく採寸できる仕組みを作った。
第四は、店員が顧客宅へ出向かなくても、的確にカーテン選びができるシミュレーションシステムを店内に導入した。顧客が自宅の床、壁、窓などを写した写真を持ってくれば、プロジェクターで部屋の様子を擬似的に再現し、実物のカーテンサンプルを吊り下げて、イメージに合ったカーテンを、スタッフと一緒に選ぶことができる。
こうした斬新なビジネスモデルを次々に開発したことで、どの柄どの生地を選んでも一万円で提供できるようになった。
「何もない部屋を、自分で選んだカーテンでマイルームに変えよう」という、独自の哲学を持つ飯野社長は「単にカーテンを売るのではなく、潤いのあるライフスタイルを提供していく店をめざしますよ」と、今後の抱負を語っている。
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