超環境対応型家具で飛躍する…マルイチセーリング(2005.08)
八五%の部材をリサイクル可能にしたソファーが発売され、家具市場で注目を集めている。
このソファーは、一シート毎に独立リクライニング式で、各シートの裏に取り付けたファスナーや面ファスナーを開けると、内部の枠組みやクッションが自由に取り出せる。クッション材には、金属製のバネの代わりに、ゴムと繊維でできた特殊なテープを採用。このため、廃棄したい時には、ユーザーが自ら分解して分別処理でき、骨材やクッション材などは約八五%がリサイクルできる。価格は三人掛けで約二〇万円と、同種の商品に比べやや高いが、環境重視の世論に後押しされて、家具小売店の評判は極めて高い。
新商品を開発したのは、福井県今立町のマルイチセーリング(小林幸一社長)。同社は一九五〇年の創業、五五年に木工部門も付設して一貫生産態勢を整えた。六七年には、高度成長期の波に乗って、関西地方へ進出、独特のオリジナル商品で新しい市場を生み出してきた。例えば、八二年に発表した「SKIP」は、ソファーの足を切り取って、座面を限りなく床に近づけた、革命的な作品。日本の家庭では、床に座ってソファーにもたれる人が多いという、某研究所のデータに基づいて開発したものだ。
その後、〝生活製作所〟を合言葉に、高級ソファー、テーブルセット、リビングボードなどのオリジナル家具の企画・開発・製造・卸売を展開し、合成皮革のカジュアルソファーでは、国内の約四割のトップシェアを占めるまでになった。
だが、二一世紀に入るや、「大量生産・大量廃棄の時代ではない」と直感した小林社長は、環境配慮型企業への転身を宣言。〇〇年に環境管理の国際基準ISO14001を取得し、〇一年にはマイナスイオンを発生するソフトレザー製のリクライニングソファを開発、同社のNO・1商品に成長させた。続いて〇三年に発売した新商品「MARS」から、家具業界初の十年間品質保証制度を導入。購入者へ一年に一度ダイレクトメールを送付して、不具合の有無を聞き、専門部門が対応する仕組みを整えた。
さらに〇四年からはソファー製造一本に絞り込み、より簡単に分別できる商品へ挑戦している。また顧客の好みにカラーを合わせるセミオーダーや、一センチ単位でサイズを変えるオーダーなど、カスタマイズ化への対応も進めている。
現在の販売網は、全国七〇社、約三五〇店の家具店で、大都市圏の大手家具店や各地の地域一番店が含まれる。同時に子会社として、主要都市で五つのアンテナショップを展開しているが、今秋から札幌店や東京・汐留の「カーザデコール」などで、商品の構成を順次、環境配慮型へ切り替えていく。
こうした大胆な戦略で、今後は環境配慮型商品の売り上げ比率を、現在の一五%から三年後に八〇%にまで高め、二一世紀型ソファー専業メーカーの地位をいち早く築く計画だ。
「社会に立つ会社をめざす、という願いを、社員一人ひとりと共有し、これからもわが社らしい仕事をしていきますよ」と、小林社長は熱い思いを語っている。
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