平均寿命の上昇で、年齢の区分が上昇し、人生の仕切り方も大きく変わってきました。
これまでは寿命が70歳前後であった、1960年ころの人生観に基づいて、0~6歳を「幼年」、7~14歳を「少年」、15~29歳を「青年」、30~64歳を「中年」、65歳以上を「老年」とよぶのが一般的でした。
ところが、2014年の平均寿命は、女性86・83歳、男性80・50歳となりました。平均寿命は0歳児の平均余命ですから、65歳に達した人であれば、女性は89歳、男性は84歳まで生き延びます。人生はすでに「85〜90歳」の時代に入っているのです。
こうなると、過去の年齢区分はもはや通用しません。寿命が1.2~1.3倍に延びた以上、年齢区分もまたシフトさせ、0~9歳を「幼年」、10~24歳を「少年」、25~44歳を「青年」、45~74歳を「中年」、75歳以上を「老年」とよぶほうが適切になるでしょう。
エッ、と思われるかもしれませんが、世の中を見渡せば、この区分はすでに通用しています。
過去10数年、新成人となった若者に聞くと、約7割が「自分は大人ではない」と答えています。
40歳で青年会議所を卒業した男女も、44歳くらいまでは会合に出席しています。
近ごろの70歳は、体力、気力、知力とも旺盛で、老人とか高年者とよばれると、顔をしかめます。このように、現実はすでに新しい区分へ近づいているのです。
とすれば、消費市場においても、新年齢区分に対応する、新たな生活需要が発生してきます。例えば、次のような商品です。
●新幼年市場(0~9歳)・・・7~9歳向けキャラクター系ファッション、タブレット型知育玩具、職業疑似体験型遊園地など。
●新少年市場(10~24歳)・・・15~20歳向けタブレット型教育端末、20代少年向けキャラクターグッズ、VOD(ビデオ・オン・デマンド)学習塾、VODゲームサービスなど。
●新青年市場(25~44歳)・・・30~40代向けヤングファッション、ゲーム・アニメなどオタク商品、「青春忘れ物」関連ブックなど。
●新中年市場(45~74歳)・・・60~70代向けフィットネスクラブ、職能再訓練センター、往年ヒット曲ベスト盤など。
●新老年市場(75歳以上)・・・70~80代向けIT教室、ゆとり旅行、「昭和再現」ゲームセンター、高度サービス付き住宅など。
とりわけ注目すべきは90歳近くにまで伸びた人生を、どうやって生き抜くかという、人生再構築産業です。従来の人生前半型教育に加えて、中年以上の生涯学習やトレーニング産業など、人生の後半に重点を置いたサービスが強く求められます。
あるいは、永い人生をより充実させ、より楽しくさせるための新しい遊戯産業、スポーツ産業、アート産業なども有望となるでしょう。
ジーンズ業界もまた、新幼年や新老年向けなど、新しい年齢別需要にむけて、新商品を打ち出してはいかがでしょうか。
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