最近の主張 2017
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現代社会研究所  RESEARCH INSTITUTE FOR CONTEMPORARY SOCIETY
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SNSがファッションビジネスを変える!
現代社会研究所所長・古田隆彦

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の急速な拡大で、ファッション市場にもさまざまな影響が出始めています。

SNSはライン、フェースブック、ツイッター、インスタグラムなど、インターネットを利用してユーザーが手軽に情報を発信し、互いに交流できる双方向メディアです。利用者は年々増加して、今年中に国内で7500万人を越え、ほぼ2人に1人が利用する、と予測されています(㈱ICT総研・SNS利用動向に関する調査)。

年代別では、20代が最も高く7割に達していますが、40代で5割、50代で4割、60代で2割と、中高年でも大きく伸びています。利用目的でみると、全体の8割が「知人や友人とのコミュニケーション」、3割が「情報の探索」、2割が「交流の拡大」で使っていますが、「体験の報告」(2割)や「思考や考え方の主張」(1割)も増えてきました(総務省・通信利用動向調査)。

SNSの浸透で、私たち一人ひとりは、新聞・雑誌やテレビといった既成のメディアを通さなくても、独自の情報を自ら発信できるようになりました。マスコミやミニコミとは一味違うパソコミ(パーソナル・コミュニケーション)の出現ともいえるでしょう。

そこで、D・トランプ大統領や橋下徹前大阪府知事など、超著名な政治家でさえ、自分の主張をマスメディアではなく、SNSで発信しています。無名の市民もまた「保育園落ちた日本死ね!!!」とか「#東北でよかった」などと書き込んで、ネット上で〝炎上〟を引き起こし、社会的な関心を集めることに成功しています。

もっとも、誰もチェックしていませんから、「某有名人が死んだ」とか「某国のミサイルが発射された」など、とんでもない虚偽情報やデマも大量に飛び交っています。これにつれて、客観的な事実に目をつむり、感情的な主張のみが罷り通る政治状況も生まれており、「ポスト・トゥルース(脱・真実)」などと懸念されています。

しかし、消費財メーカーにとっては、テレビや新聞を使った広告よりも、最新の情報を提供して需要を喚起できますし、多くのフォロワーを持つ投稿者に自社の商品情報を書き込んでもらえば一気に注目度が上がりますから、SNSを利用しないわけにはいきません。

ファッション産業でも、SNS上で影響力の高い投稿者とアパレルメーカーが手を組んで、服やアクセサリーを開発する事例が相次いでいます。商品の画像をフェースブックに載せて、24時間内に集まった「いいね」の数で製造数を決めたり、インスタグラムでフォロワーの多い女性を専属デザイナーに起用するなどのケースです。

このようにSNSの活用は、ユーザーの需要にじかに接近できたり、密接な情報交換が可能になるなど、大きなメリットがあります。だが、使い方を一歩誤ると、誤情報の拡散、誹謗中傷の炎上、個人情報の流出などのリスクもあります。

活用する企業にとっては、フレッシュなコンテンツをこまめに提供しつつ、ユーザーとの密接な関係構築を通じて、デマや虚偽情報へ的確に対応していくことが求められるでしょう。 


(詳しくは 「FASHION VOICE」:カイハラ㈱:85号=2017.6月号

平成享保」の次の時代を予測する
現代社会研究所所長・古田隆彦

 「平成」という時代が終わろうとしている。明後年に新天皇が即位されると、新たな元号が始まる。「平成」に続く「新元」の時代に、社会・経済やファッションは、どのように変わっていくのだろうか。
「新元明天」へ向かって
「平成」が始まった1989年、筆者は某新聞のコラムで、今後の20年は「成長・拡大の絶頂期であった〝昭和元禄〟にならって、〝平成享保〟とでもよばれることになる」と予測した。「バブル経済からポストバブル経済へ」「放漫財政から緊縮財政へ」「享楽消費から堅実消費へ」と指摘していたが、その後の社会・経済を振り返ると、ほとんどが的中している。
なぜ当たったのか。それは江戸時代の享保期も、現代の平成期も、ともに総人口がピークとなった時代であったからだ。享保期には、当時の社会・経済を支えた農業生産が限界に達し、また平成期には、現代日本を支える加工貿易体制がほぼピークとなった。社会・経済の容量が満杯となると、人口もまた増加から減少へ変わる。それが二つの時代の共通点であった。
生産が伸びず人口も減るというと、暗い時代と思いがちだが必ずしもそうではない。むしろ、ポスト享保の百年間は、同じように人口停滞期であった平安時代とともに、日本型文化が再構築された時代であった。儒学、国学、蘭学が深まる一方、歌舞伎、浮世絵、戯作、俳諧などの町民文化が栄えている。
同じ視点に立って、2000年10月、本欄の前身「繊研教室」にも「成熟文化…平成享保のファッション」を寄稿し、享保期から文化・文政期に到る服飾文化を参考に、今後のファッション市場を展望した。
今や平成の30年が終わって、次の30年が始まろうとしている。人口ピークからダウン定着へと進む時代を、やはり江戸時代と比較してみると、図に示したように、前半は延享~宝暦期に、後半は明和~天明期にほぼ相当している。
延享~宝暦期とは、言語不明瞭な九代将軍徳川家重の通訳として大岡忠光が実権を握った「側用人執政」時代、また明和~天明期は、これまた側用人から出世した田沼意次が、幕政の基礎である石高経済を根本から見直し、重商主義的な財政運営へと転換した「田沼時代」。つまり、前半は人口減少対応への試行錯誤期、後半はそれへの本格的な対応期ということだ。
ここから類推すると、2020年代には人口減少、飽和濃縮型経済への試行錯誤がなおも続く。だが、30年代後半からは、ようやく人口減少に見合った、より大胆な社会・経済政策が展開されることになろう。
新たな元号が未決なので、とりあえず「新元」とよぶと、この時代は明和~天明期に因んで「新元明天」とでも名づけられる。つまり、「平成享保」は「新元明天」へと向かっていく。
和装衣料を再評価する
ファッション市場でいえば、延享~宝暦期は京風・上方文化を脱して、新たに江戸型文化を創り出す模索期であった。
新興商人層の支援を受けた二世市川海老蔵が、歌舞伎「助六」の扮装として、江戸紫の鉢巻、黒羽二重の無地の小袖に紅絹(もみ)(うら)浅葱(あさぎ)の襦袢、綾織の帯、(さめ)(ざや)の刀に桐の下駄という、斬新な拵えを打ち出し、江都の喝采を浴びている。
明和~天明期になると、それらが広く定着し、表面的な華麗さを〝野暮(やぼ)〟とみなし、渋い色、小紋、裏地などの抑えた趣向を〝通〟や〝(いき)〟として尊ぶ、極めて成熟した和装文化が創造された。
女性向けには青紙張りの日傘、花簪(はなかんざし)丁子(ちょうじ)茶色(ちゃいろ)の小袖、藍返しや本染中形(ちゅうがた)の浴衣、鯨帯袖など、また男性向けには夏合羽、表無地裏模様の小袖、丈短の蝙蝠(こうもり)羽織、人形遣い風の長丈羽織など、大人好みの趣向が流行している。
こうした美意識がさらに優れた絹織物や印籠・根付などを生み出し、やがて幕末に欧米へ大量に輸出され、近代日本の経済的基盤を固めていったのだ。
江戸期の変化を先例とすると、今後期待されるのは、従来の成長拡大型や欧米追随型から一歩抜け出し、日本独自の服飾文化を改めて見直す動きではないか。高島田や大銀杏などの髪型を始め、小袖、羽織、法被(はっぴ)半纏(はんてん)、袴、股引(ももひき)、もんぺ、(ふんどし)(きゃ)(はん)、足袋、草鞋(わらじ)など和装文化の再評価である。
すでに袴はガウチョパンツやワイドパンツの変形として伸び始めているし、股引はイージーアンクルパンツやスパッツとして再評価されてきた。褌もその機能を見直されて、新しい下着となりつつある。
この延長線上で、羽織、法被、半纏などのニューアウター衣料や、脚絆や足袋などのニューレッグファッションも、間もなく登場するだろう。
「平成享保」が終わると、社会ムードの濃縮化に伴って、新たな和装ファッションが生み出され、「ハイ・ジャポ(ハイパー・ジャポニズム)」として、広く世界へ発信されていく。
(詳しくは 繊研新聞・Study Room:2017年6月6日

21”ヤングをキャッチする
現代社会研究所所長・古田隆彦


 若い世代の消費離れが進んでいます。総務省の家計調査によると、1999年から2014年の15年間に、30歳未満の消費支出は14.6%も減少しています。

一方、貯蓄率は15.7%から30.9%へほぼ2倍となりました。幼い時からデフレ経済の下で育ってきた彼らは、社会保障への不安などから貯蓄に走るのでしょう。

モノヘの消費も減っていますか、スマホの普及は約7割に高まり、SNS(交流サイト)はもとより、コンサート、イベント、旅行などのコト消費は増えています。今後、ヤングの消費行動はどうなっていくのでしょうか。

この世代にはすでにミレニアル世代、ゆとり世代、さとり世代など、さまざまな名前がつけられ、その特性が指摘されています。

最も広い定義が米国生まれの『ミレニアル世代』で、「千年紀(Millennial)」に因んで、1980年から2000年前後までの約20年間に生まれた人たちです。幼少期からデジタル環境の中で育ち、日常的にインターネットを使いこなしているため、上の世代とは異なる価値観やライフスタイルを持っている.といわれています。

「ゆとり世代」は、日本の小中孚校で『ゆとり教育』を受けた、1987~96年生まれの若者たちで、競争よりも余裕を求める傾向があるようです。一番狭い「さとり世代」は、概ね1990年代生まれで、バブル経済崩壊後の不況の中で、インターネットを利用して育ち、無駄な努力や衝突を避けて、大きな夢や高望みはしない若者たちです。

いずれも2000年以前の生まれで、2017年には17歳以上になります。だが、同年には01年生まれが16歳となり、それ以下がヤング市場の下半分を占めることになります。彼らは人ロピークの1億2800万人が近づく時代に、それまでの120万人台から110~100万人台へと急減した世代です。とすれば、21世紀生まれの若者たち、「21ヤング」とよぶべきかもしれません。

一般的にいえば、沢山生まれた多数世代では競争か激しいため、しっかり者か多くなりますが、余裕がないから新しい文化や消費を創り出す能力が弱いようです。他方、少なく生まれた少数世代では競争が少ないから、ぼんやり者が多くなりますが、ゆとりがあるからユニークな文化や消費を創り出す能力が高まります。

30歳未満でも、17歳以上はやや多数世代ですか、16歳以下では少数世代の特性が急速に強まってきます。そうなると、21ヤングが高校を卒業し、大学生や社会人になる2019年以降には、人口減少時代にふさわしい、新たなライフスタイルを生み出す可能性が高まってきます。

それは多分、ゆとり活用、体感重視、カスタマイズ(個別仕様)などをキーワードとする、斬新な方向です。これらをうまくキャッチできれば、新たなヤング市場を創り出す、絶好のチャンスとなるでしょう。

(詳しくは 「FASHION VOICE」:カイハラ㈱:84号=2017.1月号

平成享保の先は・・・縮小社会へ向かうのではなく、濃密社会へ向かう
現代社会研究所所長・古田隆彦

人口が減少= 縮小ではなく濃密と捉える

●人口減少社会は、悪い意味でシュリンキング(shrinking:縮小)といわれているが、そうではなくコンデンンシング(Condensing:濃密)だ。縮小社会ではなく濃密社会に向かっていく。

●東京オリンピック後の2021年から東京の人口が一挙に減少し始めると、ようやく日本全体が人口減少に慣れた社会へと向かい始める。東京ブランド、東京価値といったものから、 地元の地域への愛着や、自分自身でいかにモノを自分自身でいかにモノをつくり出すかという「私的効用」に向かっていく。

●東京ではない地方都市から、新しいライフスタイルが生まれてくるので、今からその準備をしていく必要がある。


江戸時代との構造類似から今後の日本を推測する

●日本は2008年の人口1億2,800万人をピークに飽和期から縮小期に入った。人口が増えている時代しか知らない者にとって、人口が減っていく社会の有り様は未知の世界だ。

●しかし、日本は何度も人口減少を経験してきた。直近の人口減少時代は江戸時代中後期。江戸時代は農業社会、現代は工業社と中心産業は異なるが、人口がピークになった社会から落ちていく社会へと向かう時には、同じような社会構造が現れる。

●人口が拡大→飽和→縮小した江戸時代の背景・文化・消費傾向などを踏まえると、今後の日本の動向が多角的に推測できる。

●ピークとなった時期は享保という8代将軍吉宗の時代。「米価安」というデフレ対策に吉宗は散々失敗し、担当老中を辞めさせた。

●吉宗が失敗した後、新たに政権を担ったのが田沼意次。彼は勃興する商業経済を中心とする幕政へと転換していった。

●現代もまた工業・製造業中心の社会・経済の仕組みが限界に来ているから、やがて次なる社会と経済の仕組みを考える人間が、新たなリーダーとして頭角を現してくるだろう。

●今はまだ次なるものが見えていない過渡期ではあるが、2016年の象徴的な出来事として、イギリスのEU脱退、女性都知事の誕生、トランプ氏の圧勝を見ても、ある意味で市場主義社会がピークに達しており、世界的にも時代の大きな変わり目にあることが読み取れる。

●一方で、人口減少とは本来あるべき姿に向かっていくということ。江戸時代も人口は減り続けたが、その間に社会・経済は成熟し、江戸文化(歌舞伎や浮世絵、絹織物や漆器、細工物など)が爛熟した。現代も、日本独自のカルチャーや情報文化が発信され、和風や日本伝統の見直しなどその兆候はすでに見えており、ますます濃密化の傾向を強めていくだろう。


選択品の需要を喚起する

●人口の減る社会で一番注目すべきは、必需品の総量が減ること。食べ物、着る物、住む所、これらは人間の数に比例するため需要自体が必ず減っていく。これが人口減少社会マーケットの基本である。

●そこで、減ることを逆にどう生かすかが喫緊の課題になる。その方法の一つが選択品の需要喚起。人間の基本的な生活願望には7つがあるから、それぞれを満たすための展開方法「7差化戦略」を考えなければならない。今までの商品開発では、機能的な違いによる差別化やビジュアル的な違いによる差異化に、あまりにも偏り過ぎてきたのではないか。

●商品創りでネウチ観を変えるには、生活者の願望に対してこれまでとは異なる対応が必要になる。 デフレ経済が定着してくると、工業製品は間違いなく安くなっていく。その代わりに非工業製品が高くなる。江戸時代の 「諸色高(さまざまな物の値が上がる) 」に習えば、どのような諸色が上がるのか 何が高価になってくるかという見通しが、これからの新しいターゲットになる。

●これを的確に捉えるには、一方では大きな人口の流れ、もう一方ではもっと細かい人間の心の動き、つまりマクロの問題とミクロの問題の、両面を絶えず見ておかなければならない。

(詳しくは 伊藤忠ファッションシステム㈱『フュ―チャーアスペクト・日常3.0』:2017年1月号)

「PPAP型ブランド」に注目!
現代社会研究所所長・古田隆彦
① PPAP型ブランド・・・

ピコ太郎がユーチューブに投稿した 「ペンパイナッポーアッポーペン」は、全世界の再生回数が3力月で2億回を突破し、発信者を一躍有名アーティストにした。PPAP型ブランドとはピコ太郎の衣装をいうのではなく、ほとんど無名のアバレルメーカーがSNSサービスを活用して、新たな流行を創りだすであろうニューブランド。

② 業界への期待・・・

アパレル企業にも、 最先端メディアを大胆に応用し、自社製品を積極的に訴求する挑戦が期待される。

(詳しくは 繊研新聞「2017年・注目のモノ・コト:,2017年1月10日)

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