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現代社会研究所  RESEARCH INSTITUTE FOR CONTEMPORARY SOCIETY
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平成享保」の次の時代は?
現代社会研究所所長・古田隆彦

「平成」時代が間もなく終わります。その後は一体どのような時代が来るのでしょうか。いや、どんな時代にすべきなのでしょうか。

今から三十年前、平成元年(1989年)の秋、私は日本経済新聞のコラムで、「昭和元禄」の後は「平成享保」になる、と予測しました。

「昭和元禄」という言葉は、昭和三十九年(1964年)、過剰消費に浮かれる、当時の世相を、福田赳夫さん(後の首相)が巧みに名づけられたものです。この表現を引き継いで、ポスト昭和は江戸時代の「享保」に近づくと予想し、「平成享保」と提案したところ、さまざまな形で引用され、その年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされました。

具体的な展望としては「バブル経済からポストバブル経済へ」「放漫財政から緊縮財政へ」「享楽消費から堅実消費へ」などを指摘しましたが、その後の三十年を振り返ると、おおむね的中したようです。

なぜ当たったのでしょうか。根拠としたのは、人口の動きでした。歴史を大きくとらえ直すと、いつの時代にも、人口の動きによって似たような社会現象が現れています。「昭和」と「元禄」はともに人口増加が続いていた時代でしたが、「平成」と「享保」は、人口がピークから減少へ向かう転換期だったのです。

江戸時代の「享保」期には、当時の社会・経済を支えた稲作が限界に達しており、「平成」期にもまた、現代日本を支える加工貿易体制がほぼピークとなりました。社会を支える人口容量が上限に近づくと、人口の実数も増加から減少へ変わります。それが二つの時代の共通点でした。

この視点を延長すると、「平成享保」の後は、ピークを越えた人口が減り続ける時代です。同じように減少が定着していった延享~天明期(1744~88年)ころに近づいていきます

人口減少で米価が下がり、幕府の税収も低下しましたが、代わって商業、金融業、木版・貸本業などが急速に発展しています。これらで成功した新興富裕層が華麗な消費文化を創り出しましたから、衣服・装飾品から奢侈品・遊興品などの需要が急速に高まり、諸物の価格は逆に上がりました。いわゆる「米価安の諸色高」という現象ですが、人口減少が続くと、ハードな商品は廉くなり、ソフトな商品は高くなるのです。

こうした動向をいち早くキャッチし、これに見合った経済政策を展開したのが、明和~天明期の老中、田沼意次です。賄賂政治家ともいわれてはいますが、一方では農民への減税を進め、他方では新興産業への増税によって、一気に財政を立て直しました

人口減少が定着する時代という共通項を前提にすると、田沼政権の行った、卓越した諸政策は、ポスト平成の社会・経済政策にもさまざまな示唆を与えてくれます。消費者が減れば、消費の中心はモノからコトへ移り、長寿化の進行で社会保障も財源が不足してきます。これに対応して、「一次・二次産業への減税」と「三次産業=情報・流通・遊戯産業などからの税収アップ」といった、大胆な政策転換が行われれば、将来不安も次第に解消していくでしょう。

そこで、新たな元号をとりあえず「〇〇」とすれば、今後の数十年間は、明和~天明期に因んで「〇〇明天」とよべるでしょう。「平成享保」から「〇〇明天」へ・・・ライフスタイルから社会・経済体制まで、人口減少に見合った、濃密な社会が期待されるのです。


(詳しくは「FASHION VOICE」:カイハラ㈱:88号=2019年2月号)

「歴史に学ぶ」に、人口減少社会のゆくえ
現代社会研究所所長・古田隆彦

青森大学名誉教授で人口問題に精通する古田隆彦氏は「人口減少によって生産人口と消費が減ることは確かなので、経済規模を減らさない努力は必要だ」と断った上で、違った見方を提示する。

「人口減少についてはマイナスの側面ばかりが叫ばれるあまり、誰もプラスの部分を見ようしません。労働人口の不足は、AIやロボットの利用などイノベーションが進めば、ある程度はカバーできるでしょう。人が減ると生活インフラが維持できないから大変だという意見もありますが、それも完璧を目指すのではなく必要な部分だけ維持するように切り替えればいい。少し発想を変えれば、人口が大きく減ることで、一人当たりの余裕は増えていきます」

思えば、高度成長期の日本は年平均で10%前後の高い水準で成長を続けた。だが、この時期の人口増加率は、年平均でわずか、1%程度に過ぎない。つまり、人口はほとんど増えていないのにもかかわらず、爆発的な経済成長が起きたのだ。これは裏を返せば、技術の進歩によって生産性が上がれば、それによって人口減をカバーすることも決して夢ではないということだ。

そして、古田氏はそもそもの前提として国が示している「100年先まで人口は減り続ける」という予想に対しても疑問を呈する。

「もちろん、死ぬ人の数は急激には減りませんからトータルで人口が増えることはありません。それでも、歴史的に見れば、人口が減って1人あたりの余裕が生まれれば、出生率が次第に向上する。
日本の出生率も2070年前後には底を打ち、その後は増加に転じる可能性は高いと思います」


詳しくは『週刊現代』 (2019年3/2号)「歴史に学ぶ」)

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